「EV・PHEVの補助金には4年縛りがあるらしい」——補助金を調べ始めると必ずぶつかるのがこの言葉です。正式には「処分制限期間」といい、補助金をもらった車は原則4年間、勝手に手放せません。破ると補助金の返納を求められます。
私は東京都でプリウスPHEVをKINTOで契約し(7月納車予定)、国と東京都あわせて約160万円の補助金を受け取る立場です。金額が大きいからこそ「途中で手放したらいくら返すのか」「事故ったらどうなるのか」を申請前に徹底的に調べました。
結論から言うと、4年縛りは怖いものではありません。事前に承認を取れば途中で手放すこともでき、返納額は月割りで減っていきます。ただし無断で売ると全額返納のリスクがある——この仕組みを知っているかどうかで、数十万円の差がつきます。
この記事では、公式資料(次世代自動車振興センター・クール・ネット東京)に基づいて、4年縛りの正体・返納額の計算式と実例・損しない判断基準までまとめます。
※補助金の全体像(いくらもらえるか・申請の段取り)は、実体験をまとめた東京のプリウスPHEV補助金はいくら?実体験で解説をご覧ください。
目次
「4年縛り」の正体は処分制限期間|乗用車は登録から4年
国のCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)では、補助金の交付を受けた車両を「取得財産等」と呼び、一定期間その処分を制限しています。これが俗に言う「4年縛り」です。
- 乗用車(普通自動車・小型自動車):登録から4年
- 軽自動車(自家用):4年
- 側車付二輪・ミニカー・原付二輪など:3年
プリウスPHEVを含む一般的なEV・PHEVの乗用車は「登録から4年」と覚えておけばOKです。
東京都のZEV車両購入補助金(クール・ネット東京)にも同様の処分制限があり、期間内に処分するときは事前にクール・ネット東京の承認が必要と定められています。つまり国と都の両方から補助金をもらう場合、両方の縛りを守る必要があります。
4年縛りは「4年間絶対に手放せない」ではなく、「手放すなら事前に承認を取り、残り期間分の補助金を返す」という仕組みです。手続きさえ踏めば、途中での売却・乗り換えは可能です。
何をすると「処分」になる?売却だけじゃない行為一覧
「処分」と聞くと売却だけをイメージしがちですが、公式の定義はもっと広いです。次世代自動車振興センターは、補助金の目的に反する以下の行為を財産処分としています。
- 譲り渡し(売却)——下取り・買取・個人売買すべて含む
- 交換
- 貸し付け——継続的に他人に貸す行為
- 廃棄——廃車にすること
- 担保に供すること
- 補助金の目的に反する使用
さらに東京都の補助金は要注意です。都の事業では上記に加えて、
- 住民票の都外移転
- 車検証の「使用の本拠の位置」の都外変更
も処分に含まれます。つまり転勤や引っ越しで東京都外に出るだけでも、都の補助金は「処分」扱いになり得るのです。都外への転居予定が少しでもある人は、申請前にクール・ネット東京へ確認しておきましょう。
なお、相続による所有者変更や、申請者の改姓・住所変更(都内間)などは、処分ではなく届出・承認手続きで対応できます。
途中で手放すといくら返納?計算式と実例シミュレーション
ここが一番気になるところです。国のCEV補助金(令和4年度補正予算以降に交付を受けた車両)の返納額は、残存期間の月割りで計算します。
返納額 = 補助金額 × 残存月数 ÷ 処分制限期間の月数(4年=48ヶ月)
※残存月数=48ヶ月−経過月数。経過月数には車両登録月と処分月の両方を含む
たとえば私のプリウスPHEVの場合、国のCEV補助金は約85万円です。2026年7月登録と仮定して、手放すタイミング別に返納額を計算すると次のようになります。
| 手放す時期(2026年7月登録) | 経過月数 | 残存月数 | 返納額(補助金85万円) |
|---|---|---|---|
| 1年後(2027年7月) | 13ヶ月 | 35ヶ月 | 約62.0万円 |
| 2年後(2028年7月) | 25ヶ月 | 23ヶ月 | 約40.7万円 |
| 3年後(2029年7月) | 37ヶ月 | 11ヶ月 | 約19.5万円 |
| 4年経過後(2030年7月以降) | 48ヶ月超 | 0ヶ月 | 0円(縛り終了) |
※筆者試算。公式の計算例(補助金55万円・経過10ヶ月→返納435,416円)と同じ式で算出。実際の返納額は次世代自動車振興センターの「補助金返納額のお知らせ」で確定します。
見ての通り、時間が経つほど返納額は直線的に減っていきます。「4年縛りの途中=補助金を全額返す」わけではない、というのが重要なポイントです。
一方、東京都の補助金の返還額は経過期間に応じてクール・ネット東京が算定します。国と計算方法が異なる場合があるため、都の分は処分前の相談時に必ず確認してください。
無断で売るとどうなる?全額返納リスクと定期調査
「黙って売ってもバレないのでは?」と考える人がいるかもしれませんが、これは一番やってはいけないパターンです。
- 次世代自動車振興センターは、補助金を交付した車両の保有状況を定期的に調査しています。
- 承認を得ずに処分制限期間内の処分が判明した場合、補助金の全額返納を求められることがあります。月割りの按分は適用されません。
- 東京都はさらに厳しく、無断処分が発覚した場合は助成金の全額に加算金(年率10.95%)を上乗せして返還することになります。
国85万円(全額)+都75万円(全額)+都の加算金——正規の手続きなら数十万円で済んだはずが、受け取った以上の金額を返すことになりかねません。手放したくなったら、必ず「先に」窓口へ相談。これだけは徹底してください。
また、処分制限期間内に車を処分して新しいEV・PHEVに乗り換える場合、前の車の補助金返納が完了するまで、新しい車への補助金は交付されません。乗り換え計画は返納手続きの時間も織り込んで立てる必要があります。
返納が不要になるケース|事故・天災は救済される
「4年以内に事故で廃車になったら、補助金を返すの?」——これも多くの人が不安に思う点ですが、救済措置があります。以下に該当する場合は、本人に責任のないやむを得ない事由として返納が不要になります。
- 天災等により走行不能となり抹消処分した場合
- 過失のない事故により走行不能となり抹消処分した場合
- その他センターが特に認める場合
ただし「自動的に免除」ではありません。財産処分承認申請書と証明書類を提出し、センターの承認を得ることが条件です。事故対応のドタバタの中でも、補助金の手続きを忘れないようにしましょう。
※事故時の対応全般(保険を使うか・修理か売却か)は車の事故・トラブル完全対応ガイドにまとめています。
KINTO・リースの4年縛り|個人受給だからこそ「4年契約」が前提
私はKINTOでプリウスPHEVを契約しましたが、実体験記事で書いた通り、KINTOでもEV・PHEVの補助金は個人が申請して本人が受け取れます。ただし、その前提になっているのがまさにこの4年縛りです。
- 補助金を受け取る条件として、原則4年以上その車に乗り続ける(契約を継続する)必要があります。東京都の場合、リース車両は使用者(=あなた)が申請者になり、リース期間が処分制限期間以上であることが要件として明記されています。
- つまり、4年未満で中途解約・乗り換えをすると財産処分に該当し、補助金の返納(残存期間分)が発生し得ます。「サブスクだから気軽に乗り換えればいい」は補助金をもらった瞬間に通用しなくなります。
- KINTOの契約期間は3年・5年・7年。3年契約だと処分制限期間(4年)に届きません。補助金を受けるつもりなら、申込前に契約年数と補助金の条件の組み合わせをKINTO・補助金窓口に確認してください(私は7年契約にしました)。
ちなみにKINTOは任意保険込み・残価精算なし・自家用ナンバー(希望ナンバー可)という仕様なので、「4年しっかり乗る」前提なら補助金との相性は良い選択肢です。KINTOと残クレ・現金購入の比較はKINTO vs 残クレ vs 一括購入 完全比較をどうぞ。
「4年乗り続けられるか」を基準に、契約前へ複数社を比較しよう
補助金の4年縛りがある以上、リース・サブスクは「4年後の自分」を想像して選ぶのが正解です。月額や走行距離プランはサービスごとに大きく違うので、契約前に複数社を比較しておくと後悔がありません。
- 複数のリース会社を相談しながら比較できる:個人向けカーリースサービス「モビカリ」
- 走行距離が少ない人に有利な従量制:グッドデザイン賞2024受賞の【エンキロ】
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4年縛り中でも損しない判断式|「売却額−返納額」で考える
「縛り期間中=売ったら損」と思い込む必要はありません。正しい判断式はシンプルです。
手取り額 = 車の売却額 −(国の返納額 + 都の返還額)
この手取り額と「乗り続ける価値」を比べて決める
たとえば登録から3年後、返納額が約20万円まで減った時点で、車の買取相場が高ければ「返納してでも売って乗り換えた方が得」というケースは普通にあり得ます。EV・PHEVは相場の変動が大きいので、「返納額がいくらまで減ったか」と「今いくらで売れるか」をセットで把握しておくのが、4年縛りと賢く付き合うコツです。
そのためにも、手放す可能性が出てきたらまず査定額を知ること。査定は無料ででき、売る義務もありません。「返納額より高く売れるか」の材料集めとして使えます。
今の車・手放す予定の車、まず「いくらで売れるか」を知っておこう
補助金の返納額と売却額を比べるには、まず査定額という材料が必要です。電話勧誘が苦手な方や、事故車・動かない車にも選択肢があります。
- 電話勧誘なしで一括査定できる:車一括査定「ここ来て!査定」【STREMA(ストリマ)】
- 動かない車・古い車も0円以上で買取保証:廃車買取専門店「ハイシャル」
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途中で手放すときの手続き5ステップ(国CEV補助金)
実際に処分制限期間内に手放すことになった場合、国のCEV補助金の手続きは次の流れです。
- 財産処分承認申請書を提出——処分する「前」に必ず次世代自動車振興センターへ。交付決定番号が不明なら車検証の写しを添付
- 財産処分承認通知書を受領——センターの承認を待ってから動く
- 車両を処分——売却・廃車など
- 財産処分報告書を提出——処分内容を報告
- 返納額のお知らせを受領→返納——納付期限は通知から20日。短いので資金は事前に用意
ポイントは「承認が出てから処分する」という順番と、最後の返納期限が20日しかないことの2つ。買取店との売買契約を先に結んでしまわないよう注意してください。東京都の補助金分は、これとは別にクール・ネット東京への事前相談・承認が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q. KINTOやカーリースでも4年縛りはありますか?
A. あります。リースでも補助金は使用者(契約者本人)が受け取るため、処分制限期間の義務も本人が負います。東京都の補助金はリース期間が処分制限期間以上であることが申請の要件です。4年未満での中途解約・乗り換えは返納リスクがあります。
Q. 4年経ったら自由に売れますか?
A. はい。処分制限期間(乗用車は登録から4年)を過ぎれば、承認手続きも返納も不要で自由に売却・乗り換えできます。
Q. 事故で全損・廃車になった場合も返納が必要ですか?
A. 天災や過失のない事故で走行不能となり抹消処分した場合は、申請して承認を得れば返納不要です。ただし財産処分承認申請書と証明書類の提出が必要で、自動的に免除されるわけではありません。
Q. 引っ越しで東京都外に出る場合はどうなりますか?
A. 東京都の補助金は、住民票の都外移転や車検証の「使用の本拠の位置」の都外変更も処分に含まれます。転居の予定が出たら事前にクール・ネット東京へ相談してください。国のCEV補助金は住所変更自体は届出で対応できます。
Q. 返納したら、新しいEVの補助金はもらえますか?
A. 処分した車両の補助金返納が完了するまで、新しい車両への補助金は交付されません。乗り換えのスケジュールには返納手続きの期間を織り込んでおきましょう。
Q. 4年縛りの途中で売ると必ず損しますか?
A. 必ずしも損ではありません。返納額は月割りで減っていくため、「売却額−返納額」の手取りがプラスで大きければ合理的な選択になり得ます。査定額と返納額を並べて判断するのがおすすめです。
まとめ|4年縛りは「知っていれば怖くない」ルール
最後に、この記事の要点を3つに絞ります。
- 4年縛り=処分制限期間。乗用車は登録から4年。売却・廃車・貸付などが「処分」にあたり、都の補助金は都外転出も含まれる
- 事前承認+月割返納なら途中で手放せる。返納額は時間とともに減っていき、4年経過でゼロに。一方、無断処分は全額返納+(都は)年10.95%の加算金という最悪のコース
- 判断式は「売却額−返納額」。事故・天災による全損は救済措置あり。迷ったら処分の前に必ず窓口(次世代自動車振興センター/クール・ネット東京)へ相談
約160万円の補助金を受け取る私自身、「4年は乗り続ける」前提でKINTOを7年契約にしました。大きなお金をもらう以上、ルールを正しく知って、計画的に付き合っていきましょう。
※本記事は2026年6月時点の公開情報(次世代自動車振興センター・クール・ネット東京の公式資料)に基づいています。制度・要綱は年度で変わるため、実際の手続き前に必ず最新の公式情報をご確認ください。
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